脱・ゴルフ初心者の練習日記

「１００を切ること？
それだったら簡単だよ！」

レッスンプロの鷲頭講師が言った。


えっ！？
１００切りなんて、簡単ですとっ！？





昔、ヨーヨーが流行った時、
各地に「ヨーヨーチャンピオン」が回ってきて、
地域の子供達を集めて華麗な技を披露していた。

「犬の散歩」に始まり、
「ブランコ」、「東京タワー」、そして「ロケット」など。

そして、「輪投げ」という技を、
何回連続で出来るかをみんなで競いあい、
一番回数多く輪投げが出来た人に、チャンピオンから
「赤いコカコーラキャップ」と「銀色に輝くスペシャルヨーヨー」が
プレゼントされた。

当時は、みんなこの「スペシャルグッズ」が欲しくて、
ヨーヨーで輪投げの練習をしていた。

そう言えば、あの色んな技を披露していたチャンピオンは、アメリカ人だった。

片言の日本語をあやつり、
「コンドは、イヌのさんぽヤリマスネ～」とか、
「コレが、ブランコですゥ～」とか言っていた。

「ソレデハ、わなげコンテストはじめマ～ス。」
と言って、必ず輪投げのデモンストレーションをしてくれた。

両手にヨーヨーを持ち、二つを交互に投げての連続技。

僕たち子供が、
「わぁ＝！スゲぇー！！」
と驚きの声をあげて見つめていると、

「わなげナンテ、かんたんデス！
♪わな～げ、わなげ、カンタンかんたん！♪」
と歌を歌いながら、ヨーヨーを回していた。




♪わな～げ、わなげ、カンタンかんたん！♪・・・


♪１００キリなんて、カンタンかんたん！♪・・・





あっ、アノ時の、
ヨーヨーチャンプじゃないですかっ！？鷲頭講師・・・
っなワケないか。

あまりに唐突な言葉が返ってきたので、
俺の脳みそがパニックを起こしている。



そんな、簡単に１００切りは簡単だなんて言わないでくださいよ・・・。
俺なんか、もう１年も練習をしてるんですよ・・・。

それなのに・・・、
それなのに・・・・。




「じゃあ、どうすればイイんですか？」

「７番アイアンで１００ヤードは飛ばせるでしょ？」

「はい。１４０、１５０ヤードくらいは飛びますよ。上手く当たれば・・・。」

「じゃあ、ミドルホールって何ヤードくらいある？」

「そうですねー、大体３３０，３４０ヤードくらいですか？」

「じゃあ３４０ヤードのミドルホールで、７番アイアン１４０ヤード飛ばしたら、
必ず３回でグリーンオン出来るよね？」

「出来ますねー上手く行けば２回で乗っているかも。」

「そこから２回パットをして、スコアはいくつになる？」

「３オンで２パットだから、ボキーですか？」

「そうだよね？３パットでもダブルボギーで上がれるじゃん。
じゃあ、全ホールダブルボギーで回れたら、スコアはいくつになる？」

「えーと？１０８です。」

「ほら、１００台でしょ？
ミドルで、３オン３パットでいいんだよ。
これって難しい？」

「・・・難しくないです・・・。」

「じゃあ、３オン２パットのボギーでいいや。
これだとスコアはいくつになる？」

「うーんと、９０です。」

「そうだよね？全部ボギーで９０。
１００切りなんてアッと言う間じゃん。」

「・・・確かに、そうですけど・・・・」



もう、何の反抗も出来ない俺。

確かに、ダブルボギーでたまにボギーを取れば、
１００で回れる。
そして、９０台も夢ではない。

でも、そんなに上手く行かないから、
悩んでいるんだよ・・・。



「えっ、じゃあ、何で俺は１００を切れないんですか？」

「それはさぁ、
もしかしたら、
パーを取ろうとか思っていない？」


ドキッ！


「ショートで、１オンしようとか思っていない？」


ドキッ！
　ドキッ！！


「だから力んじゃって、ダフったりチョロになったりするんだよ。
飛ばそうとか乗せようとか思うから。
ダボでいいじゃん。ボギーでもオッケーじゃないの？」

「えっ！？
っていう事は、１００を切れないのは
技術がないからじゃないんですか！？」

「うん、技術じゃないね～。
全部トップボールでいいんだよ。前に進むから。」

「じゃあ、全て、気持ちの問題なんですかっ！？」

「だって、パーを取ろうとか、バーディとか狙ってるんでしょ？
バンカーからピンに寄せようとか。」


ドキッ！
　ドキッ！！
　　ドキッ！！！


「何で、分かっちゃうんですかっ？
まるで、見ているかのように・・・」

「それは、スイングを見れば分かるよ～。
思いっきり力が入っているし～。」

「じゃあ、俺が１００を切れないのは、
欲を出しているからなんですね！？」

「まぁ、そうかな・・・」


ガーン！！





今明らかになる、真実。

欲。
欲の出し過ぎ・・・。



ちくしょー！
あーあ。
どうぜ俺は、欲望の塊だよ！
欲望が服着て歩いているみたいな！？

この肉体まるごと、欲望で出来ているよ！




しかし、

このあと鷲頭講師から、

さらに驚くべき言葉を聞かされるのだったー！


つづく・・・。