脱・ゴルフ初心者の練習日記

ティーチングプロによる「ゴルフ講座」を卒業した俺は、
新たなるスタートを切った。

でも、一人で練習するには少し心もとない。

なぜなら、人一倍思い込みが激しいので、
間違った解釈をして練習に取り組んでしまうからだ。

まあ、これをいい言葉で表現すると
「ポジティブ思考」
と言うことになる。

また、別の表現を用いれば、
「都合がいい」
とも言う。


そんな俺には、冷静でしかも客観的な目というものが必要なのだ。



そんな時、俺に「幸運の手紙」が届いた。

そこには、
「ゴルフの練習を一緒にしませんか？」
ということが書かれているでないか。

これこそ、まさしく
「飛んで火にいる夏の虫」。

いや、ちょっと表現が違うな。

「カモがねぎしょってやって来た」
か？

こんな言葉しか出てこない、自分の思考回路を少し疑いながら、
早速俺は、練習場所である「須坂２７ゴルフ練習場」に出掛けて行った。
須坂２７ゴルフ



当日集まった人は7名。
とあるSNSのサイトで知り合った人たちだ。


「こんばんは～、むらです。」

初めて会う人たちなので、内心ドキドキしていたが、
みんな「始めまして～。」「こんばんは」などと温かい挨拶を返してくれた。


「え～と、俺がアマゴルファーむらです。
で、誰ですっけ？」

ニックネームは分かっているが、誰が誰だか分からない。
とりあえず、名前と顔を一致させる。

「ハチ」さん。
「つんつく」くん。
「ぷにょん」さん。
「みら＠」さん。
「kei」さん。
「☆りこ☆」ちゃん。

どうやら、みんなカタギのひとみたい。

ホッと胸をなでおろす。


早速俺は、今回のリーダーハチさんに、
「もう、ぜんぜんダメなんですよ～。」
と泣きを入れる。

「じゃあ、ちょっと打ってみなー。」
と少し強面のハチさんが応えてくれた。


いつも通りに7番を持って、軽くスイング。
相変わらずのトップボールは、弱々しく左に曲がって行った。


「あ～、ヘッドアップだな。」

つかさずのハチさんのコメント。


「そうなんですよ。
自分でも分かっているんですけど、どうやって直せばいいのか分からなくて。
でも、ボールをずっと見ている意識はしてるんですよ。」


「そんなの、ただボールを見ていたってダメだぜ。」

えっ。ダメ？

「ボールの見ているところが違うんだよ。
どこ見てる？」

どこって言ったって、
ボール全体を・・・・・。

「大体みんな、ただボールをボッーと見ているだけなんだよ。
ボールは、一点を集中して見ないと。」

一点集中？

「しっかり飛ばしたい時は、ボールのすぐ前芝生のところを見つめるんだよ。」

なに？芝生を見つめるだと！？



初めて聞くアドバイスに、俺は動揺を隠せなかった。

震える腕で、もう一度言われたとおりにスイングしてみる。
一点集中で、ボールのすぐ前の芝生を見つめながら。

パチッン。

音よく飛び出したボールは、真っ直ぐ前に飛んで行く。
しかも、今までになかった弾道を描きながら・・・。

「おぉ～、すげぇ！」
思わず上がる、驚愕の声。


「だろ～。今はずっと最後までボールを見ていたからちゃんと飛んだんだよ。」


いきなり、すごいじゃないかっ。
これなら、もしかしてイケルかも知れない。
さらなる「上達への道」が。



「オレの場合、打つ球筋によってボールを見る位置を変えてるけどな。
左に打ちたきゃボールの後ろ。」

そういいながら、ハチさんが軽くスイングをした。
パチンとはじかれたボールは、きれいなドローで左に飛んで行く。


「右に打ちたきゃ、ボールのすぐ前。」

高く打ち出されたボールは、美しい曲線を描きながらフェードボールとなって行った。


「真っ直ぐを狙うときは、ボールの頭やや右側だな。」


シュルシュルシュルー。
素晴らしい。素晴らしすぎるストレートボールだ。


思わず、
「エッー！何ですかソレっ！？」
と大声を上げてしまった俺。


「何でそんな事が出来るンですかっ？
一体誰に教えてもらったんですか！？」



驚く俺に、ハチさんが一言。


「別に、誰からも教わってねーよ。」




ウソ！？

誰からも教わってないだと！？

そっ、そんなバカな。
そんかバカなことがあっていいのか！？


じゃあ、今まで俺のやってきたことは、
一体なんだったのだぁぁぁーーー！？




これだけでも、すでに元を取ってしまった俺は、
この後「つんつく」くんから、さらにすごいアドバイスを受けることになる。


To　be　continued・・・。