秘密兵器登場

アマゴルファー・むら

2009年08月26日 17:25

「じゃあ今日も、
スイングの撮影からしますね。」

と、山口プロから声が掛かる。


ゴルフスクールに通うのも、これで三回目。
今日も、いつもの流れでレッスンが始まる。


今まで、一体何が悪くてどんなスイングになっていたのかまるで分からなかったが、
このスイング解析機で自分のスイングを見るようになってからは、

「えっ。ウソッ。」
「なんじゃ、コレはっ。」
「まさか、これが自分なんて!?」


と驚きの連続と共に明らかになってきた。

あまりにも、自分のイメージとかけ離れた現実。
きっと、心臓の弱い人なら、
ショック症状を起こしてその場で倒れてしまうかもしれない。

ウッ。胸が・・・。」バタン。
と。


どうやら俺は、
神経だけは図太く出来ているらしい。


ありがとう。神さま。
こんな俺に作ってくれて。










「うん。大分よくなってきてますね~。」

撮影したスイング映像を見ながら、プロが言った。


そうだろう。
あれから毎晩のように、
「V字ドリル」や「ショルダーターン」を練習してきたからな。


「テークバックでは、右サイドにしっかり移動出来るようになったし、
シャフトも寝ないで下りて来てますしね。」



それは、かなり意識して練習したさ。
「上げたら下ろすだけ。上げて下ろす」と。


「うん。でも・・・。」


うん・・・?でも・・・?
何ですかっ?


「やっぱり。まだ、すくい打ちの感じがありますね。」


ガビーン!
まだ、直っていないのか!?
あれだけ練習したと言うのにっ。




今年の夏は、寒い夜だった。

梅雨明け宣言が終わったと言うのに、
毎日、毎日雨が降る。

夏らしい、暑い星の輝く日はほとんどなく、
シトシトジメジメ。

夏の天体観測や、
「あっ見て!流れ星よ。」と、
甘いひと時も楽しむことが出来ない夜。

「夏の夜」
と言う表現より、「梅雨の夜」といった方がふさわしい日々だった。


そんな中でも、
濡れた道路の上、ほのかに明るい街灯の下、
「俺は、むらヤ。アマゴルファーむらヤ~!」と、
あれだけ練習してきたと言うのにっ。


上達してないんですか?





「分かりました。
今日は、身体を使うスイングを練習をしましょう。」



うん?
身体を使うスイング?


「どうしても、腕だけを振ってボールを打ちに行っちゃうんですよ。
だから、力も入ってしまうしスイングも安定しないんです。」



確かに。
このヤロー!って言うくらいに、力いっぱい振っていますよ。
あたし。


「じゃあ、コレを使ってスイングしてみましょう。」








何ですか?このボール。
コレをどうするの?



「これを腕に挟んで、それで普通にスイングしてみてください。
こうやって。」

と言いながら、プロが見本をみせてくれた。





バチン。びゅーーー。


何番アイアンを使っているのだろうか?
スペースシャトルのように飛び出していったボールは、
上段に張ってあったネットに当てって落ちた。


すげェ・・・。

ボールを挟んでいたって、いつもと変わらないスイングが出来るんだ。
そーか、そーか。

さっそく俺も試してみた。


ボールを腕に挟んで・・・
あれ?
ただ挟むだけじゃ、ボールが落ちちゃうな。
ちょっと、両脇を締めるようにしなきゃダメだな。
こうか?
おっ。
これは、「だっちゅーの!」スタイルじゃん!
懐かしいなぁ~。
うん。
ヨシ。これで普通にスイングするっと。


あれ~?
腕も上がらないし、身体も回りませ~ん。
テークバックなんか、ムリムリ。
そんでもって、
ボールなんか打てませ~ん。
というより、普通にスイング出来なんですけどっ。コレ。


もう、

だっちゅーの!

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