パットのタッチ

アマゴルファー・むら

2007年08月20日 18:46

脇腹に痛みを抱えている俺は、パットの練習に励むことにした。

以前先輩に、
「パットって、どうやって打てばいいですか?
基本の打ち方ってあるの?」
と聞いたところ、

「パットに型ナシ!」

と答えが返ってきた。


そうか、カップに入れば何でもいいんだな。
でも、急に”自由を宣言”されても、今まで「ルール」「マナー」「エチケット」を何より優先してきたので、
「いいの。あなたの自由にして(チュ)」
なんて言われても、逆にオロオロしてしまう。


まあ、とりあえず、好きなように打ってみることにした。

まずは、1メートルくらいの距離から。
同じ場所にボールを置いて、軽くストローク。

「カコンッ」

軽い音と共にカップイン。


おっ、いいじゃん。
じゃあ、次は2メートルだな。

とりあえず、ラインを読んでさっきより強めのタッチでストローク。

1球目、50センチくらいのショート。
2級目、カップインまで、わずか10センチ。
3級目、同じく、ナイスタッチだ。

おおっ。いいじゃんイイジャン!

ラインもそれほど外していないし、距離感もバッチリだ。


「天才とは、俺のために作られた言葉だろう・・・」


気を良くした俺は、ひたすらボールを転がした。
3メートル、4メートル、5メートル。
登りのライン、下りのライン。
フックにスライス。

まあ、1パットで入りはしないが、距離感は悪くない。

「そろそろ本気で入れてみるか」
と、3メートルくらいの距離からスタート。

軽いフックライン。
カップ右端いっぱいか、ボール半分外。

グリップの力を抜いてゆっくりストローク。

アレッ。入らない。
1メートルはオーバーしたか。

続く第2球目。

今度は30センチのショート。
しかも、ラインが外れている。

ヨシッ!今度こそ。

全てをこのボールに集中したパットは、カップのわずか手前で止まる。


「入らない・・・」

ほんの少し前、「天才」という名を欲しいままにした俺は、
呆然とそこに立ちすくむ。

あっ、そうか。いきなり3メートルがいけなかったんだな。
今度は、2メートルにしよ。

1球目、カップオーバー。
2球目、カップオーバー、ラインミス。
3級目、手前10センチのショート。


入らない。
入らないじゃないか・・・。

あっそうか。ちょっと見栄を張りすぎてたな。
やっぱり最初は、ショートパットからにしないと。

1球目、カップ左にそれて行く。
2級目、カップ右にそれて行く。
そして、3球目。

もう、ここまできたら入れねばならぬ。
ラインなんて関係なし。
真っ直ぐカップに向かってぶち込むだけだ。

大きく一つ息をついて、グリップを握る手をそっと緩め、
やさしく、ただやさしくストローク。

コロコロコロ・・・。
弱々しく転がっていったボールは、カップのエッジでぴたりと止まった。


「チキンだァ。俺はチキンなんだぁぁぁ・・・



これは、酉年生まれの宿命なのかもしれない・・・・・。

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