あと、もう少し。もう少し。

アマゴルファー・むら

2009年06月29日 12:30

相変わらず、100の壁に阻まれている俺。


ここ数日のラウンドでも、
あともう少しと言うところまで詰寄りながら自爆する道を進んでいる。

グリーン周りのアプローチ。
フワッと浮かせるつもりが、ガツンとトップ。

ガードバンカー。
砂の爆発でボールを出すつもりが、見事クリーンヒット。

グリーンは目の前にあるのに、
いつまでたってもその周りを行ったりきたりしている。


乗りそうで乗れない。
イケそうでイケない。
あと、もうちょっと。あと、もうちょっと・・・。



考えてみれば、
今までの俺も、あともう少しが多かった。


小学生のマラソン大会。
足は速いほうではなかったが、順調なペースで走って上位をキープ。
暑さと疲れにヘロヘロになりながらも、ゴールを見てホッ一息。
その瞬間、後ろから来た人に抜かれてしまい結果11位。

惜しくもトップ10入りを逃してしまった。



遊園地に行った青春時代。
名物のジットコースターに並んで、乗る順番を待っていた。
物凄い高さまで上がり、一気に落ちて回転していくその姿は、
見ているだけでも怖くなる。
近くを通り抜けて行く、轟音と突風。
「やっぱり、ヤメようかな・・・・?」と思ってしまうけど、
でも、乗ってみたい気もしている。
ドンドン自分の順番が近づいて、鼓動も高まりワクワクドキドキ。
次に乗れると思った瞬間、
「ただ今、風が強い為、しばらく運転を見合わせています。」
とアナウンス。

何で、そうなっちゃうの?





こんな事もあった。



夜の繁華街。
友人達と飲んだあと、俺は一人で家路を急いでいた。
夜風を身体に浴びながら、右に左にゆっくり歩く。
八分目くらいのアルコールが、俺にとって丁度いい。
飲み過ぎもせず、飲まれ過ぎもせず。
この、「マッタリした感じ」が何とも言えない。

突然、ビルの陰から出てきた女性に呼び止められた。
「おニイさん。マッサージしない?」

うん?マッサージ??
そんなのしないよと、少しアクセントが変わっている女性に返して、
歩き続けた。

「だいじょうぶ、ダイジョウブ。少しでイイから。」
何が大丈夫なのか分からないが、その女性は俺の腕を掴んで引っ張ってくる。

いいって。本当にいいって!
別に身体もコッテいないし、それにお金も持ってないしな。

「ゴセンエンだから。ゴセンエンでいいから。」

と、ちょっと強引に俺の腕をさらに引っ張る。

ちょっと、ちょっと~。
足元がおぼつかない俺を見ていたのか、
ついに力で押し切られ、俺はその女性に、
拉致されるように連れて行かれてしまった。


ったく。しょかねぇーな~。
じゃあ、ちょっとだけマッサージしてもらうか?

ビルの一室に連れてこられた俺は、
今度は、白衣みたいなのを着た女性に「ベットに寝てクダサイ」と声をかけられ、
そしてマッサージが始まった。



ふぅ~。
少し飲んでいるせいか、強弱のリズムが気持ちイイ。
肩に始まり、背中に腰。
ゆっくりゆっくり揉みほぐして行く。

あぁ~。
なかなか上手いマッサージだ。
段々だんだん気持ちよくなってくる。


「オニイサン。もっと気持ちよくしてアゲルヨ。」

その女性が言った。


えっ。
もっと、気持ちよくしてくれるって?

「アト、もう少しネ。ゴセンエン。」


なにっ?
さらにお金を払えと言うのか?
じゃあいいよ。もう、気持ちもイイしお金もないから。


「だいじょうぶ、ダイジョウブ。ほんとにほんとにキモチいいから・・・。」



ったく。
本当にしょーがねぇーな~。
じゃあ、気持ちよくならなかったらお金返してもらうからな。


「ハイ。こんどは上を向いてクダサイね。」

言われるとおりに仰向けになった腕を、女が触った。
そして、優しく包み込むように上下にさする。

うんウン。
なかなか、いい感じだぞ。
そう、その調子。その調子。

腕をさすっていた手は、身体を滑って今度は足へ。
太もも、ふくらはぎと、大きくゆっくり動かしていく。


おぉ~。
これは本当に気持イイ。
上手いじゃないか、このマッサージ。
何だか、このまま眠ってしまいそうだよ・・・。
あぁ~。いいよ、いいよ・・・・・。





気がつくと俺。ベットの上にいた。

見知らぬ電気に見知らぬ天井。
周りはカーテンで仕切られている。


あれっ?どこだココ?

一瞬、状況がつかめなかったが、
すぐに意識を取り戻した。



そうか。
昨日、マッサージに連れ込まれたんだった・・・。


で、寝ちゃったの?
俺。

マッサージされている途中で、寝てしまったの?
「あともう少し。あともう少し」と言われてお金だけ払って。

そして、
そのままここに、ほったらかされてしまったの?


でも。
10分イチマンエンは高くないかー!?




朝日が、ヤケに眩しかった・・・。








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