浮き沈み
再び、
「100オーバーの初心者」に戻ってしまった俺は、
その傷心の身体を引きずってラウンドに出掛けた。
場所は、
「妙高高原ゴルフ倶楽部」
俺の
「諦めが悪い性格」は、
子供の頃から筋金入りだし、何よりあと2週間後には
「むらコンペ」が迫っている。
そこで、
「100切り&主催者優勝」を達成して、
多くの参加者の前で
「脱・ゴルフ初心者宣言!」をする堂々たる姿を見せつける為、
俺は用意周到で万全な大勢をしいて準備を進めているのだった。
このゴルフ場に来たのは、約3年ぶりだろうか?
コースの両側は林で囲まれていて、
比較的フェアウェイが狭くボールの方向性を求められるホールが多い。
「どこに飛んで行くか分からないティーショットを打つ人」には
非常に厳しいゴルフ場だ。
この日も、真っ青な秋晴れがどこまでも広がって、
この上ないゴルフ日和に恵まれていた。
俺は、前回のラウンドで
「ダメだった点」を思い返しながら、
今回のラウンド目的を明確にした。
それは、
「フェアウェイを捉えるドライバーショット」
だ。
過去のラウンドを振り返ってみても、
俺の何が一番悪いのか?と言えば、
「左右に曲がるドライバーショット」なのは明らかだ。
とにかく、OBが多い。
OBがない時は、林の中に打ち込んでロストボールになるか、
林の中から出すだけでも2打、3打とかかっている事も多い。
きっと、この状態を
撲滅しない限り、
俺はいつまで経っても
「慌ただしいゴルフ」を続けていることに違いない。
だから、今回のラウンドでは、
ボールの飛距離は捨てる覚悟を決めていた。
ボールは、もう飛ばなくてもイイ。
「ブッ飛ばすぜー!」とか、
「行くぜ、300ヤード!」とか、
「俺は、ドラコン王じゃ~!」なんて気合は全く必要ない。
とにかく、真っ直ぐ前にボールが転がってくれればイイんだよ。、
俺に、今一番必要なのは、
「フェアウェイを捉えるドライバーショット」
いや、
「コース内にボールが残っているティーショット」
なのだ!
しかし、スタートの一発目から、
左の林に打ち込んでしまった俺。
何とかボールはあったものの、
いきなり
「トリプルボギー」のスタートになってしまった。
さらに、ショートホールで
「3オン、4パット」の
「7打」を記録して、
思いと行動が
見事に分裂した状態になっていた。
前半のプレーが終了して、スコアは
「51打」。
パット数が
「18パット」。
後半もこんな状態なら
「同じ過ちを繰り返し続ける男」として、
きっと誰からも愛想を尽かされてしまうだろう。
それだけは、そんな淋しい状態だけは避けなければならない!
俺は、ビュッフェスタイルのランチもそこそこにして
後半のプレーに突入したのだった。
本当に、気持ちのイイ青空が広がっている。
目の前に見える
「妙高山」も、
その荒々しい姿をクッキリと浮かび上がらせていた。
そして、気分も盛り上がった俺は、
前半とは
うってかわったティーショットを連発していったのだった。
ドライバーを使ったホール、一度のスライスを抜かして、
ほぼ完璧にフェアウェイを捉えていた。
弾道も、そして飛距離も申し分がない、
打った自分が見惚れるほどの素晴らしい当たりが連発していた。
パットが決まってきたのに合わせて、
スコアもドンドン良くなっていった。
やはり、
ドライバーが真っ直ぐ飛んでフェアウェイにあるって言うのは
本当に爽快だ。
芝を歩く足取りも、
ドンドン軽やかになって行く。
となれば、途中のショートホールで開催されいた
「ワンオンチャレンジ」もウキウキで参加するのは当然の事だ。
見事、
「ワンオン」も果たして
「パー」をゲット。
ティーショットのオナーもほとんど獲得して、
さらにプレーを進めて行った。
後半のプレーが終わってスコアを計算してみると、
前半「51打」、後半「45打」の合計=
「96打」
パット数が、「18+16」=
「34パット」
という成績だった。
再び、
「脱・初心者」として返り咲いた俺。
喜びを密かに噛みしめながら、
お風呂で今回のプレーを振り返っていた。
そして俺は、
自分のスイングに対して、
「もしかして、俺の考えが正しければ・・・」と、
ある
「一つの理論」を導き出したのであった・・・。
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