少しづつ、少しづつ・・・

アマゴルファー・むら

2014年12月02日 22:02

あと2回のラウンドで、今シーズンのゴルフを終了する俺は、
ゴルフ歴30年のベテランシングルゴルファーと、
「白ティーレディース」のアスリートゴルファーとのラウンドに出掛けた。





これまでにない好調さを披露した前半のプレー。

やはり、「これがもう最後のチャンスかも知れない」という切羽詰まった状況と、
ただ淡々と自分のプレーに徹するシングルプレイヤー達の姿には、
想像以上のパワーが引き出される事があるみたいだ。

前半の47打の内、パーが3回
そして、バーディーが1回

自分でも、
「実は俺って、やれば出来る子なんじゃない?」
と、過去の自分を否定したくなるほどのプレーを続けている。

「これは狙えるぜ、自己ベスト更新!
と意気揚々とプレーを再開した後半の1ホール目も「パー」でスタートしたのだった。

しかし、ここで罠が待ち受けていた。

続くロングホールで「パーオン」を果たした俺は、
バーディーの甘い誘惑をキッパリ断ち切り「確実にパー!」と2パットでホールアウトする事を考えていたが、なんと結果は「4パットのダボ」

続くショートホールでも「5打のダボ」
そして、サービスホールのミドルを9打と大叩きして、
次々とスコアを増やしてしまったのだった。


「やっぱり俺って、やっても出来ない子だったんだ・・・。」

意気揚々は意気消沈し、明るい未来は暗い現実へと変化して、
今度は、ベテランゴルファーたちの「冷たい視線」がその状況を切羽詰まったものにしていた。


「俺の、一体何が悪いというのだろうか・・・?」

頭の中はこの言葉で埋め尽くされて、
もう他の事は考えられなくなっていた。

いきなり、右に左に曲がり始めたドライバー。
まともにボールをインパクトすることが出来ないアイアンショット。
そして、ショートにオーバーで距離感が合わなくなったパッティング。

俺の意識は「何が悪くてどうすれば良いのか?」と、
その原因を究明するだけの力は既に残っておらず、ひたすら、
「やっぱり、「練習すれば必ず上達する!」と言うのは嘘なんだな。
誰だよっ、「努力は必ず報われる」とか言ったヤツ!
本当は、「信じる者はバカを見る」が正しいんじゃないのか!」

と、世の中の全てを否定し「ひねくれて星をにらんだ僕」になろうとしていた。


そこで、いきなり「白ティーレディース」から、
「むらさん、手首使ってるでしょ?
左手の手首の角度は、アドレスからインパクトまでずっと一定だよ。」

とアドバイスが入った。

えっ。俺、手首が動いちゃっていましたか!?

自分では、全くそんな意識は無かったが、
どうやら手首がアッチ行きコッチ行きして
クラブフェイスの向きがバラバラになっていたらしいのだ。

あたたかい人の情けも、胸を打つ熱い涙も知らないで育った俺は、
ただ練習すればそれでイイんだと思っていたが、
やはり「曲がらないショット」を打つためにはそれなりの「コツ」というものが存在しているらしい。

そして、
このアドバイスを胸に刻み込んだ俺は2連続で「パー」を取り、
ホールアウトまで残り2ホールというところにプレー進めていた。


「このロングホールしか、俺に残されたチャンスはナイぞ・・・。」

スコアを減らす為には、ここでバーディーをゲットするしか
「ベストスコア更新!」の道は残されていない。

しかし、今までの経験から「欲を出して失敗する」自分を見ている俺は、
「パー狙い」に意識を変えてドライバーを打った。


第1打目。ボールがフェアウェイを捉えた。
第2打目。右に曲がりながらもグリーン手前までボールを運ぶ事が出来た。
第3打目。ガードバンカーに入れてしまった。
第4打目。ボールは出たが、グリーンオーバーでラフ。
第5打目。56度のウェッジでピンまで1.5mに寄せて1パット。

結局、ラストチャンスのホールを「6打のボギー」
もう絶対にスコアを増やしてはならないこの土壇場で「+1打」を記録して、
俺の目の前で輝いていた夢は、脆くも崩れ去ってしまったのだった。

気が抜けてフ抜けになった俺は最終ホールを「パー」としたが、
そこに喜びを感じる事はなかったのだった。


悲しみに打ちひしがれて、
背中を丸めてカートにショボンと乗り込んで、
スコアの計算をしていた俺に、
ベテランゴルファーさんが声を掛けてきた。

「お前、後半「47打」でいいか?」
と。

「うんそう、47でいいよ・・・。えっ、ちょっと待って!
「47打」だって!?」


確かに、後半のスコアは「47打」で収まっていた。

という事は、合計「94打」
「自己ベストスコア更新!」じゃないのかーーー!?


今シーズンの終了間際で、
今までの自己ベストを1打更新した俺。

「それにしても、たった1打かよっ。」
軽く「チェッ」と舌打ちしながら、
俺はこの勢いを持って、
今シーズンのラストラウンド「コンペ」に乗り込むのだった・・・。

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