「ゴルフの一番の欠点は、
それが「止められないほど面白いゲーム」という事だ。」
と誰かが言ったが、そんな止められない止まらないカッパえびせんの様なゴルフに、
俺は
「さよなら」を言わなくてはならない時が来てしまった。
ここ信州のゴルフ場がクローズになる12月。
早いもので、俺がゴルフを始めてから今年で丸5年、
5回目のオフシーズンに突入しようとしている。
「目指せ、シングルプレイヤー!」と声高らかにスタートを切り、
まずは
「知識だ!」と書店に置いてあるゴルフ雑誌を片っ端から立ち読みし、
次に
「スクールだ!」と数々のティーチングプロのドアを叩いて、
あとは
「練習だ!!」と最低でも週に1回、多ければ毎日の様に練習場でボールを打ち込んできた。
コースにも足を運び、月2回という限られたラウンドの中で実践と検証を繰り返しては、
日々変化する自然の中で、天気を見て気温を感じ風を読んではコースとの対話を続けてきた。
芝の種類やグリーンの形状、ハザードの位置、レイアウトなど、
どんな意図を持ってコースが設計されているかを考えながら、
併せて自分の身体のコンディションを確認しプレーの戦略を立て、
その時に最適なショットを選択していく。
しかし、スイング技術の数より
欠点の数の方が多い俺には、
イメージするマネジメントを確実に実行出来るだけのスキルはまだ身に付いていはいなかった。
「どうしてスライスになってしまうのだろうか?」
「なぜ、いつも短いアプローチがトップになってしまうのか?」
「パターの距離感が全く合わない・・・」
俺の悩みは尽きることなく溢れていた。
「もう、今年も終わってしまうんだな・・・。」
毎年いつも感じる事だが、
一年なんてアッという間に過ぎて行く。
「行くな!まだ行っちゃダメなんだ!!」
とどんなに願ってもアッという間に過ぎて行く。
「我慢だっ。もっと我慢するんだっ。よっ・・・」
と強くしっかり言い聞かせてもアッと言う間に過ぎて行く。
でも、それは仕方がない。
季節は常に変わって行くものだし、
また季節が変わるからこそ新しい気持ちに切り替えることも出来る。
そう考えればこのシーズンオフも、
ゴルフの上達には
「必要不可欠な要素」なのかもしれない。
俺はこの冬、
自分自身のゴルフを見直そうと思っている。
今までの丸5年間に身に付けた知識と経験を全てリセットして、
始めからからゴルフを見つめ直そうと考えている。
クラブの持ち方から始まって、
グリップの握り方、アドレスの取り方、テークバックにトップにダウン、
インパクトからフォロー、フィニッシュに至るまでの一連のスイング動作。
ドライバーの打ち方、ボールの飛ばし方、
アイアンショットに寄せるアプローチ、
ウェッジでのバンカーショット、1ピン以内は確実に決めるパッティングなど、
今まで蓄積してきたありとあらゆるプレーをゼロにして、
「ゴルフとは何か?」
「なぜ俺はゴルフをするのか?」
「俺にとってゴルフとは一体どういうものなのか?」
というところまで戻って、自分自身を見つめ直そうと思っている。
果たしてその結論が、オフシーズンの間に明らかになるのかは分からないが、
しかし、この
「ゴルフとの距離を置く」というステップは、
冷えてしまった二人の関係をもう一度修復すると同じくらいに大切な事だと俺は思っているのだ。
雨は夜更け過ぎに雪に変わっていく事の多い信州の冬。
今年の冬も、また例年通りの寒さがやってくる予感を
朝、凍ったフロントガラスをみて感じている今日この頃。
俺のキャディーバックは、いつも積みっぱなしにしてある車のトランクから降ろされて、
押入れの隅に静かに片づけられた12月の日であった・・・。