チャンスを活かすか殺すか?
ゴルフシーズンが間もなく終わろうとしている信州。
秋も深まり、周りの山々は美しい紅葉に包まれている。
たぶん普通の人なら、
「綺麗な色に染まっているね」
なんて、赤と黄色と緑のコントラストが織りなす自然の驚異を楽しむのだろうが、
俺の場合は、
「あと、何回ゴルフができるのだろうか・・・。」
と、過ぎ去ろうとしているゴルフシーズンに悲しみを寄せている。
この日もそうだった。
透き通るような青空が見渡す限りに広がった11月の初旬。
少し冷たい風が吹いていたが、気温は
「例年より高め」となる予報の中、
平日に訪れた何の予定も入っていない休日。
言ってみれば、
「絶好のゴルフ日和」。
しかし、誰ともラウンドの約束をしてない俺は、
1年の中で1度か2度あるかないかの澄み切った秋空の大安吉日を
一人でポツンと孤独を噛みしめながら過ごそうとしていた。
残りの休日と、
「財布の予算残高」を考えれば考えるほど、
ゴルフが出来る回数が少ないことが分かってくる。
これからの季節は気温がどんどん低くなり、
天気は雨から雪に変わることが多く、
コースの芝も、緑から黄色と見る見るうちに変化して、
ティーグラウンドやグリーンは、朝晩の冷え込みにカチンコチンに凍りつき、
物理的にもゴルフが出来なってしまう。
そんな事を一人で悶々として考えていると、
自分の部屋でただボーッと時間が過ぎて行くだけの休日に
居たたまれなくなってしまい、予約も無く同伴者もいないのにもかかわらず、
いそいそとゴルフ場に出掛けて行ったのだった。
「飯綱高原ゴルフコース」
そう、俺の住んでいる信州には、
一人でもラウンド出来る
「予約なし、当日OK」のゴルフ場があるのだから
これを使わない手はない。
しかもこの日は、
「特別キャンペーン中」という事で、
通常「¥4700」のプレー代金がなんと
「¥2200」
天気も良くて、予約なし一人でも受付けしてくれて、
1ラウンドのプレーフィーが¥2200となれば、
これはもう
出掛けない方がおかしいではないか!
だが俺は、そんな絶好のチャンスを
両手を叩いて喜んでいたワケではなかった。
むしろ心は、
「やっぱりヤメようかな・・・?」
と消極的になっていた。
確かにこの
「飯綱高原ゴルフコース」は、
「予約なし、当日受付け、一人でもプレーOK」
なのだが、本当に一人でプレーするワケではなくて
「知らない人との組み合わせ」でプレーすることになっているのだった。
という事は、
ゴルフ初心者歴丸6年のこの俺が、
朝一番のティーショットはいつも緊張で心臓が痛み出すこの俺が、
30センチの
「OKパット」も
「下りだからっ」とまともに打てずに外してしまうチキンハートのこの俺が、
全く見ず知らず人達といきなり一緒にゴルフするなんてそんな恐ろしいことが
どうして出来ると言うのだろうか?
だが俺は、
絶好のゴルフ日和に
「このチャンスだけは逃すまい!」とありったけの勇気を振り絞り、
初対面でゴルフの腕前もその素性も分からない人たちと、
一緒にプレーをする覚悟を決めてティーグラウンドに立ち向かったのだった・・・。
To be continued.
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