勝利の女神
「これが、最後のチャンスなんだ・・・」
今シーズンの最後のラウンドにして、
今シーズン最後のコンペ。
俺は、今シーズンの全てを賭けて、
コンペ会場の
「信濃ゴルフ倶楽部」に向かった。
もう、何度もラウンドしているこのゴルフ場で、
コンペが開催されるのが俺の
唯一の救いだった。
コースはバッチリ覚えている。
グリーンの形状や傾斜も、それなりに頭に入っている。
そして、
どこがOBでどこが狙い所なのか、
コースマネジメントも完璧に近い。
後は、全て俺の腕次第。
そう、
言い訳が一切許されないこの場所で、
俺の全身全霊のプレーが始まる。
かなりのプレッシャーを抱えてまま、俺はスタートした。
しかし、そのプレッシャーは、
「100切り達成」から来るものに加えてもう一つあった。
それは、
「コンペルール」
毎年、この時期に行われる職場のコンペには、
かなり厳しいルールが設けられている。
1、新ペリアのハンディ戦。
これは、嬉しい内容だ。
2、オールノータッチ、完全ホールアウト。
まあ、特に問題はない。
3、
罰金があります!
なに?罰金だと!?
「OB、池ポチャ、3パットは罰金です!」
マジですかーっ!
しかも、ブービーになった場合は、
次回の幹事をもれなく与えられると言う。
なんと、ゴルフ初心者に
やさしくない内容なんだ。
世の中では、
「環境にやさしい」とか
「地球にやさしい」とか、
「やさしい」という言葉がもてはやされている今、
この職場は、時代に逆行してるのか?
コンペルールも、
エコロジーにしてもらいたいものだ。
こんなプレッシャーがさらに加わってしまったが、
そう。今日は
言い訳が許されないのだ。
同じ組の女性達が、素晴らしいティショットを放っていった。
青く澄み渡った空に、白いボールがきれいに舞い上がっていく。
周りをぐるっと見合わしてみても、
見事な秋空と、雪がほんのりと積もった山が、
とても美しい姿を現していた。
さあ。
ついに戦いが始まった。
「やってやる!今日だけは・・・」
そう、心に固く誓いながら、
今シーズン最後のチャンスは、女神と共に
俺に微笑をくれるだろうか?
俺は、ドンドンとホールを進めて行くのであった。
To be continued.
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