ゴルフ魂

アマゴルファー・むら

2014年10月31日 21:00

和やかなランチ風景。

他の参加者たちも前半をホールアウトして、
それぞれのプレーを振り返りながら話に花を咲かせていた。








俺は、前半のプレーを振り返ること無く、
今回「むらコンペ」に初参加の
ラディ―のパパさん、ラディ―のママさん、オシタカさんに、
「でも、よくコンペに参加しましたね?」
という素朴な疑問を投げかけていた。

だってそうだろう。

今まで一度も会ったことがなく、ゴルフを一緒にしたこともない人が開催するコンペに、
果たして俺なら参加するだろうか?

もちろん、しない!
って言うか、あり得ない!!

そんな、どこの誰だが得体の知らない人物と、
いきなり一緒にゴルフをするなんてそんな怖ろしい事が
一体どうして出来るのだろうか?

それに、
4千年の歴史を誇る中国の偉い人だって言っている。

「君子、危うきに近寄らず」
と。

そうさ。
この世知辛い世の中では、自分から危険を回避する能力はもはや、
必要不可欠、生きて行くために絶対身に付けなければならない「護身術」になっている。

それを解っていながら、しかも、ラディ―さんたちは関東圏という遠くから、
わざわざこの北信州の外れにまで来ている。

この事実が、
俺にはどうしても不可解だったのだ。


「で、どうでした?
初めて俺に会った印象は?」


俺は、素朴な疑問を
ラディ―のパパさんに投げかけた。

「そうですねー。実はもっとゴツイ人かと思っていましたよ。」

えっ、どういう事?

「結構、普通ですよねー。」

一瞬、褒められているのかそれとも違うのかが理解できなかったが、
とりあえず「生の俺」を見て安心しているようだ。


「でも、よくこんな遠くまで来ましたよね?」

俺の素朴な疑問は続いた。

「まぁ、むらさんに一目会いたかったし。」

えっっ、いきなり愛の告白!?

「と言うか、好奇心ですかねー。」

一瞬、「俺って絶滅危惧種か?地球外生物みたいな?」
自分が地球に存在している事を疑ったが、
とりあえず、「ヒューマンビーイングの姿」を見てホッとはしているようだ。


「それにしても、一緒に連れてこられたママさんはたまったモンじゃないですよね?
こんな遠くで、しかも台風の中だし。」


「いいえ。そんなことはありませんよ。」

とても優しい口調で静かに答えてくれたラディ―のママさん。
実は、ゴルフを始めてまだ2年足らずの初心者さんだった。

「そーですか。でも、どうしてゴルフを始めたんですか?
やっぱり、パパさんの影響?」


俺の素朴な疑問は、
今度はママさんに向けられた。


「好きなんです・・・。」

えっっっ、また愛の告白!?
いいんですか、旦那さんのいる前で!?


「ゴルフがすごく好きなんです・・・。」

ほ~、これは意外な言葉だ。

だって、ゴルフを始めて間もない頃は、
誰でも自分の思う通りのプレーが出来なくて
逆に苦しいハズじゃないのか。

・ボールが上がらない
・ダフる、トップする、シャンクする
・池に入る、OBになる
・バンカーからボールが出ない
・アプローチでザックリ
・3パット、4パット当たり前

などなど・・・。

こんな苦しい状況の中で、しかも、プレーが遅くなれば同伴者からは嫌な顔をされて、
クラブを3本持って走り回ってヘトヘトに疲れることが多いそんな状態なのに、
「ゴルフが好き」とは、一体なぜなのだろうか?

「それはちょっと突っ込んで聞きたいですね?
ゴルフのどういうところが好きなんですか?」


するとママさんは、
ゆっくりと言葉を噛みしめるように
こう答えた。


「上手くいく事もいかない事も、
全て自分の責任ってところです・・・。」


ガ~ン!
俺は、頭を殴られたような衝撃をその言葉に受けた。

全て自分の責任、自分の責任、自分の責任・・・


確かにそうだ。

俺が、どスライスやどフックばかりのドライバーショットしか打てない事も、
未だにダフったりトップしたり時には空振っちゃりしたりする事も、
ボールをOBに打ち込んで「あ~ぁ。一個¥500もしたのにっ。」と悔しがったりする事も
「全ては自己責任」なんだよっ。そう、誰のせいでもなくて


もしかしたら俺も、
「良いも悪いも全ては自分次第」
というところに「ゴルフの魅力」を感じているのかも知れないな。

ゴルフを始めて既に6年以上も経っているのにも関わらず、
全く上達しなくて初心者から脱却できない状態でも
未だにゴルフを諦めずに続けている理由は・・・。


しかし、
この言葉を胸に刻みながらプレーしているママさんは凄い。

俺は、
忘れかけていた「ゴルフ魂」を身体にに叩き込んで、
後半のプレーではしっかりと「真の淑女ゴルファーの姿」を目に焼き付けようと
ティーグラウンドに向かって行ったのだった。

すると、
なんと奇跡が起きた





大型台風が日本列島を直撃している最中だというのに、
なんと薄っすら青空が覗いて雨が上がったのだった。







となれば、
俺の沈み切った気分も盛り上がってくる。

ドライバーもそこそこ復活し、
トップボールだけだったアイアンショットも回復して、
2連続でパーを取ることができた。

そして、後半のスコアは「50打」
前半の64打から一転したスコアを記録したのだった。




全ての組がホールアウトして、
お楽しみの「結果発表」「表彰パーティー」が始まろうとしていた。

「一体誰が優勝するのか?」
「俺は何位になったのか?」
「ドラコン王」「ニアピニスト」に輝いたのかは誰だ?」


などと、ワクワクドキドキしながら、
お互いのプレーを健闘しあっている参加者たち。








そして、見事優勝に輝いたのは、
3年連続で参加の「endbenさん」だった。


最後に、
みんなで記念撮影をして、
この「第7回むら感謝還元コンペ」の幕が無事に下ろされた。






そして俺は、
またしても優勝出来なかった成績と、
「ホストアマ」としての未熟さ痛感しながら、
台風の中集まってくれた参加者への感謝を胸に、
コンペ会場を後にしたのだった。


みんな、ありがとう!


Fin


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