独走

アマゴルファー・むら

2014年10月27日 21:01




「第7回むら感謝還元コンペ」の参加者全員の視線を背中に浴びながら、
俺のティーショットは左への引っかけでどフックだった。

しかも、林でセパレートされている木にボールが当たり、
大きく跳ね返ってそのままOBゾーンに消えて行ってしまった。

後ろの方からは「あ~ぁ・・・。」と言う小さな声が、
どんより曇った空と共に静寂だったティーグラウンドに響き渡っていた。


ボールを探すのを早々に諦めて、
特設ティーから「第4打目のプレー」を選択した俺。

グリーンまでの距離は約100ヤード。

この距離ならPwでグリーンオンして、
後は2パットでホールアウト出来る。

雨がポツポツと降りだして雨合羽を着込んではいるが、
スイングの支障になるほど大きな動きはしないから、
ゴワゴワガサガサ感も少ないだろう。

しかし、俺の打ったボールは、
右に飛び出す「シャンクボール」だった。

焦ってボールが飛んだ場所に駆け寄ったが、
運よく、グリーン周りのラフにボールは止まっていた。

スタートホールからバタバタとしている姿を同伴者に見せつけているが、
このアプローチは「俺の神髄」を披露できる場面だ。

ピンまでは約40ヤード。
ボールのある場所からは「下りのフックライン」になっている。

この「信濃ゴルフ倶楽部」のグリーンは、
雨の中でも「高速グリーン」なのは練習グリーンで確かめてあるので、
キャリーで10ヤード打てばいいだろう。

迷わず、51度のウェッジを手に取った俺。

フワリと上がった弾道を何度もイメージしながら素振りを繰り返し、
狙いを定めた一点にボールを落とすことに集中した。

しかし、打ったボールはイメージとは真逆な
カツン!とコロコロ転がるトップボールだった

グリーン周りでアタフタしている俺。

既に同伴者のみんなは、グリーンの上で俺のボールが乗るのを
雨の勢いが強くなった状態で待っている。
7打目でやっとパターが使える場所にボールを乗せて2パット。
いきなりのスタートホールで「9打」を記録してしまった俺。

続く、谷越えになるロングホール。

ここで、仕切り直しのドライバーショットをぶちかますハズだったが、
打ったボールは「チョロ」で、しっかり谷に落ちてしまった。

またしても、特設ティーからの第4打目。

不調のドライバーを何とか改善したい一心で再び振り切ったが、
今度は右にどスライスしてボールは林の中に消えて行ったのだった。

2度のOBを出して、このホールを「10打」
「トップを独走!」して完全優勝を目論んでいたが、
既に「最下位独走!!」を突っ走っていた俺だったのである。


前半のアウトコース。
常にこんな状態でプレーを続けていた俺は、
同伴者の
・ラディ―のパパさん
・ラディ―のママさん
・オシタカさん
のプレーぶりを見ている余裕はまったく無かった。

しかも、3人が「初めてのコースでの初ラウンド」であるという事を知りながら、
コース案内もロクにしないでただひたすらに自分のプレーに徹したが、
前半の結果は「64打」
そして、パット数を数える余裕もなかったが、
お先にパットを外して「4パット」をしたのだけは記憶していた。

まさしく、ヒドイ状態だった

打つボール打つボール全てトップボールで、
スコアでトップを独走するのではなく、プレーでトップを独走していた俺。
さらには、「コンペ初参加」の同伴者に
何のおもてなしをすることもなく、完全放置プレーをさせている。


・台風が直撃する中での「コンペ強行開催」
・バタバタ、あたふたの落ち着きのないプレー
・初参加者ほったらかしの「放置プレー」


もうこれでは、「ホスト失格」の烙印を押されてしまっても当然だ。


そして、ランチ休憩を取っている中で、
俺は、
ラディ―のママさんから、
衝撃的な言葉を聞かされるのであった。





To be continued.

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