どちらを選ぶべきか?

アマゴルファー・むら

2011年05月02日 13:37


歯医者に通っている。

今年の2月からだからもう3カ月にもなるが、
その治療がようやく終わりに近づいた。


始めは、
詰めてあった銀歯が取れてしまったのでその治療だったが、
どうせ直すなら「悪い所は全部!」とお願いしたのが、ここまで治療を長引かせた原因でもある。


しかし、俺は歯医者が嫌いだ。

いや、正確に言うと、
「歯の治療が嫌い」なのだ。


まず、
あの「キュイ~ン、キュイ~ン」という
歯を削る音。

俺にとってあの音は、
痛さを倍増させるスピーカーにしか聞こえない。


その音が聞こえただけでもう、
身体はこわばり、全身から血の気が引いて、
これから始まる恐怖に鳥肌を立てながら身構えてしまう。

「痛かったら手を上げてくださいね」とか言われても、
あまりの痛さに手も上げられないくらい身体が硬直してしまっているのを、
ぜひ先生は分かって欲しい。


つぎに、あの匂い。

消毒液と言うか、麻酔薬と言うか、
また、病院とは一味違った匂いが漂っている。

あの匂いを一言で表現するなら、
「歯の匂い」になるだろうか?

その匂いが、これから目の当たりにする戦慄を
さらに大きくしているのだ。


そして、あのコップ。
そう。うがいする時のコップだ。

どう考えても、あれは小さい。

俺はいつも、「これじゃ、しっかりうがいも出来ないじゃないか。」と思うし、
そして何より「検尿カップ」に良く似ているのは
そもそもうがいする気さえ奪っている。


これだけの理由でも、十分「歯医者が嫌い」が分かってもらえると思うが、
やっぱり一番の理由は「痛い」と言う事だろう。


とにかく、歯の治療は痛い。

俺がいくら強靭な肉体精神を持っているとしても
歯の治療は痛い。

例え、「女王さま。ムチでムチで打ってくさいっ」というMな人でも
あの痛みに耐えることは出来ないだろうと俺は思う。

ちなみに俺のイニシャルは「M」だが、
どちらかと言えば「S」である。




そして、最後の治療が終わりに差し掛かった時、
先生がこう言った。


「これで、奥歯に被せものをして終わりになりますが、
銀歯を被せる方法と、白い歯を被せる方法どちらにしますか?」


うん?銀歯と白い歯?

それは当然白い歯だろ。
どうしてそんな事を聞くんだ?

「銀歯は保険内、白い歯だと保険外です。」

ふ~ん。全部自腹ってことね?
でも、例え実費で支払っても白い歯がイイに決まってるじゃん。

「銀歯は¥5000くらいで、白い歯は¥40,000です。」

なにっ。ヨンまんエン!?

あまりの驚きに声が裏返ってしまったが、
さすがの俺でも、その金額を払うにはもう一度考え直す時間が必要だった。


歯が一本、¥40,000。

「欲しかったドライバーが買える金額だぜ・・・」


今年、クラブを買い換えたいと思っている俺は、
ひそかに小銭を貯めてきた。

コンビニでの缶コーヒーも控え、
ランチメニューも¥600以内に抑え、
飲み会の回数も減らし、
おねちゃんのいる居酒屋から、おねちゃんのいない居酒屋に場所も替えきた。


そして、並々ならぬ努力の末
やっとまとまったお金になってきた今、
歯一本に¥40,000も使えと言うのか?


「あの~、ちなみになんですけど、
銀歯と白い歯って、何が違うんですか?」


「まずは、見た目ですね。そして、耐久性でです。
白い歯はセラミックで作るので、丈夫で長持ちします。」


ほぉ~。セラミックなのかぁ。

じゃあ、ドライバーで言えば、
「パーシモン」「メタル、チタン」の違いってことか?


そう考えると白い歯になるが、
でもドライバーが買えなくなってしまう。

ドライバーを取るか、それとも、白い歯を取るか?
俺は、一体どうすればいいんだ?


待てよ。
銀歯という選択肢もあるぞ。

そーだよ。保険だって使えるし、見た目が少しぐらい悪くたってイイじゃないか。
どうせ、被せものには違いはないし。
ご飯がちゃんと食べられれば、それで問題ないんだ。


そして、おれは決めた。



「分かりました!白い歯にしてください!!」と。




そして俺のドライバーは、
今まで通り変わりがないのである。

関連記事