真逆な世界
再び、
どスライサーに戻ってしまった俺。
6年前の振り出しに
「バック・トゥ・ザ・オールド」した中で、
またラウンドに出掛けた。
場所は、
上田市にある
「上田丸子グランヴィリオゴルフ倶楽部」
このゴルフ場に来るのは、あの
「レジェンドゴルフ」から約2年ぶり。
今年も女子プロの
「ステップアップツアー」が開催されるらしい。
このコースは、やはりトーナメント会場にもなっているだけあって
ラフの芝がとても長くて平坦なフェアウェイも少ない丘陵コース。
特に、ティーショットのボールコントロールが求められるので
俺の
どスライスを荒治療するにはもってこいになるだろう。
俺が、過去から未来へ戻る
「鍵」を見つける重要なラウンドだ。
早速、フロントでチェックインを済まして、
コースの状況を確認する俺。
青々とした元気の良い芝がコースを包んでいる。
ボールがそれなりに転がってくれるグリーンも、
ソフトタッチの俺にはピッタリ合っている。
周りに置かれているプランターにも、
綺麗な花が咲いていた。
早速、スタートホールに向かおうとカートに乗り込もうと思った俺だが、
そのカートの姿を見て驚いてしまった。
「えっ、このカート!?」
なんと、ピンク色の常用カート。
一瞬、
「あいのりのラブワゴン」かと間違えてしまったが、
今回のラウンドは確かに男二人女二人の男女のカップルになっている。
お互い、ゴルフ以外に
何の関係も持っていないが、
今日はこのラブリー号に乗って18ホールの世界に出発するのだった。
梅雨の合間に晴れた空の下、
俺のスライス撲滅の旅が始まった。
緊張のスタートホール、
ドライバーを手に取りスライスの修正方法を念仏のように頭の中で唱えていた俺。
その甲斐あってか、
スライスボールが飛び出すことはなかった。
しかし、
そこには俺が今まで見ていた世界とは
真逆な世界が出現していたのだった。
「なにっ、今度はフック!?」
いや、フックと言うより
「引っかけ」とか
「チーピン」と言った方が適切だ。
それも、トップスピンしながらドロップしていくので、
飛距離が全く出ない最悪のボールになっている。
続くホールも、また続くホールも、
「引っかけチーピン」は出現し続けて、
ラブワンゴンの同伴プレイヤーからは
失望の眼差しが向けられていたのだった。
前半のプレーが終わってランチの時間。
この
「ランチバイキング」で何とか気分転換を図り、
後半のスイング修正に希望を持ちたい。
俺は、食べきれない程の料理を皿に盛って、
スイング動作についての整理を行いながら心を静めていた。
後半のプレー。
俺の真逆な世界は
ひっくり返ることがなかった。
「逆玉が出てしまったらお手上げ」と誰かが言っていたが、
まさしく俺の中でも、もはや
「修正する方法は皆無」という状況になっていた。
なぜなら、フックが出るという事は
「動作が正反対」という事だから、
今まで通りのスイングに戻せばまたスライスになって、
どちらにしてもまともなボールが飛び出すことは無い。
俺は、
「何をどうやってスイングすれば良いのか?」が
全く解らない状態になったままで、
グランヴィリオでのラウンドが終了していった。
前半
「69打」、後半
「53打」。
パット数の合計
「39打」から考えても
圧倒的にショットが悪い事がスコアからも明らかになっている。
そして俺は、
ラブワゴンでの旅ではなく今度は、
「自分をゼロから見つめ直す」
一人旅に出掛けようと心に決意していたのだった・・・。
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