修正
久しぶりにゴルフをした。
ドライバーのスライスに悩まされ、
「これじゃ、まともなゴルフが出来ないぞ? 」と
練習場に通い詰めスライス矯正に取り組むこと一か月。ありとあらゆる修正方法を試してみた。
・スイング軌道 →
「アウトサイドインからの脱却」
・フェイスコントロール →
「スクエアなインパクトの実現」
・グリップ →
「ストロンググリップとグリッププレッシャーのチェック」
・ポスチャー →
「真っ直ぐズレのないアドレス」
・ボールポジション →
「クラブヘッドの最下点の確認」
などなど、俺がこの5年間1825日と言う時間を費やして学んできた経験と知識の全てをぶっちゃけて
「修正に次ぐ修正」と
「試行錯誤を重ねた」特訓の日々だった。
しかし、まだ
何の手応えも感じていないのに加えて、
スライスが直るなんて事はジャンボの宝くじ一等が当たる確率より低い状態だったが、
それでも、毎年参加しているコンペが開催されるとなればまさか不参加と言う訳にはいかない。
さらには、後3週間後には
「むらコンペ」も迫っている。
芝の生えているコースで実践の感を養っておかなければ、
「一体、どんな結果が待ち受けているか?」は
既に明らかである。
その
「小説より奇なり」という俺の姿を目の当たりにした参加者は、
失望の眼差しを俺に向けたまま静かにフェードアウトして二度とむらコンペには参加する事は無いだろう。
もし、そうなってしまったら
この6年間続いたコンペも
ジ・エンド。
そして、俺のゴルフライフも
いい事なんか無かったラウンドに夢だけ置き去りの
グッバイ青春さ!
コンペ会場の
「斑尾東急ゴルフコース」は、
朝から真っ青な秋晴れの空が広がっていた。
参加者のみんなも、
年に一度のお楽しみとあってスタート前からワイワイガヤガヤと盛り上がっていた。
キレイなコースを目の前にして、
俺は、
ある決断に迷っていた。
それは、このラウンドのティーショットでは
「ドライバーを使うべきか?それともやめるべきか?」
と言う事を。
当然、スライスはまた修正出来ていない。
それを分かっていながらあえてドライバーを使う事に
何のメリットがあると言うのか?
となれば、少しはまともなショットを打てるアイアンを使う事が
それこそ
ジェントルマンたる者ではないか?
そうさ。
何が何でも
「今年中に100切り!」と宣言しているのだから、
このラウンドはスコアメイクに徹するのが
王道であって、
それを実現させるのが
筋と言うものだろう。
ゴルフを始めて既に5年。
このあたりで本気で
「脱初心者」を果たさなければ、
俺もまじめに
「こらから進む道」を
改めて考える必要があると感じ始めている。
そんな葛藤と戦っている間に、
俺のティーオフする時間がやってきてしまった。
急ぎ足でティーグラウンドにセットアップする手には、
無意識の中で選んだ
ドライバーが握られていた。
「・・・うん、分かった。
ここは逃げちゃダメなんだよな・・・。」
そう自分に言い聞かせて、
俺は、迷いを捨ててスイングした。
すると、俺の目には、
真っ直ぐフェアウェイに向かって飛んで行く白いボールが映り込んできたのだった。
「ヨシッ!」
小さく拳を握り締め、思わずウッと呟いた俺。
あれだけ右に大きく曲がっていたドライバーが、
なんと
真っ直ぐ前に飛ぶようになっていたのだった。
「この調子なら、
今日はイケるかも知れないぞ・・・!」
僅かな希望を胸にそっと閉まい込んで、
俺は、
元気よくスタートを切って行ったのであった。
続く・・・。
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